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一フリーランスエンジニアがフリーランス白書2019をよんでみた。考察とまとめ。

一フリーランスエンジニアがフリーランス白書2019をよんでみた。考察とまとめ。

「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」から毎年発行されている フリーランス白書2019年版をよんでみたのでまとめとその感想をかいていきたいと思います。

タイトルに一フリーランスがといれたので簡単に自己紹介をしておくと、私自身フリーランスのエンジニアをしておりスタートアップやベンチャー企業中心に 開発のお手伝いをさせて頂いています。フリーランス歴はまだ一年ちょっとと短いですが他人ごとではなく、世の中のフリーランスの動向を知っておくためにも フリーランス白書を通して読んでみました。

フリーランス協会って何をしているの?

フリーランス協会は、2017年に設立されたフリーランスの支援団体です。メルマガ・SNSでの情報発信やイベント・セミナーの開催や有料会員の特典となる「フリーランス向けベネッフィットプラン」 などを提供、「誰もが自律的なキャリアを気づける世の中へ」というビジョンを掲げ、現状テーマ別に9つのプロジェクトを通してフリーランスを支援しているようです。

その9つのプロジェクトの一つが今回の白書・調査プロジェクトでそのアウトプットして発表されたものがフリーランス白書であるようです。 フリーランスというテーマに絞った調査は数が少ないはずで、一フリーランスとして世の中の動向を知れるというのはだいぶ有難いです。

フリーランス白書2019のまとめ

リンクはこちらです。

フリーランス白書2019

©一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2019」

フリーランスのワークエンゲージメント

様々な記事でも強調されているように、2019版ではワーキングエンゲージメント(仕事に対する熱意)に関する記述が強調されています。

これは日本が「熱意溢れる社員」の割合が6%で調査した139カ国中132位と最下位クラスだったことを念頭に置いたもので、フリーランスの熱意の平均が 欧米諸国のそれに近しい値を記録したということが白書の中で強調されています。

厳密には日本が132位という低いランクを記録した調査で使用された「熱意」の概念と微妙にことなる部分はあるそうなのですが、それにしても正社員とフリーランスを 比較した時に顕著な「熱意」の違いがみられたことは今回の調査の発見だったようです。

日本人のワークエンゲージメントの平均が2.8~2.9前後で今回の調査における会社員の平均値は2.40だそうで、それに比べてフリーランスのエンゲージメントは4.0と 欧米諸国にひけを取らない数字であったようです。

エンゲージメントの比較

引用: https://hp3.jp/wp-content/uploads/2018/05/08JSUC.pdf

フリーランスの課題について

白書は前半部分で正社員とフリーランスに関する比較を行なっていましたが、後半部分ではフリーランスの課題についても触れています。

フリーランスの課題

引用: フリーランス白書 2019

それぞれ大きく分けて

  1. 契約トラブルなどの最低報酬などのビジネストラブル・ビジネスリスク
  2. 健康保険
  3. 出産・育児・介護などのセーフティーネット(休暇や所得保証)

などが挙げられており、調査の結果「フリーランスや副業をするといった新しい働き方を日本で選択しやすくするためには、何が 必要だと思いますか?」という設問に対する回答としては2. 3.などのライフリスクに関する項目多くあがり白書ではその対策として働き方改革の一貫としての 社会保障制度の見直しが挙げられていました。

白書ではそこからさらに突っ込んで、「自己責任論」についても触れられておりこの論調がフリーランスの一番根深い課題だと論じていました。

感想・考察

フリーランスの分類

フリーランス白書をちゃんと読む機会がはじめてだったので、月の平均稼働時間にでフリーランスを分類するやり方が「そんな風にわけるのね」という感じで新鮮でした。

白書によると以下の分類にされるらしく

月の平均稼働時間が60時間未満 すきまワーカー
月の平均稼働時間が60時間以上140時間未満 時短ワーカー
月の平均稼働時間が140時間以上200時間未満 フルタイムワーカー
月の平均稼働時間が200時間以上 ハードワーカー

ここに自分を当てはめると時期によっては140時間を下回ることもあるし、200時間を超えることもあるのでだいたい「フルタイムワーカー」となるんですかね。 ただ、こうしてブログを書いている時間とか、コード書いている時間とかいれると「ハードワーカー」かなというかんじですね。

フリーランス白書を読むとどういう仕事をしている人が年収が高いとかそこらへんをざっくり知ることができるので、これからフリーランスになるあるいは現状フリーランスという方は一度みてみると良いかもしれません。 あくまでも平均をとっているのでそこに乗っかる必要はないと思うのですが、世間的に自分がどういう所にあるのかというのはみてみるとよいかもしれません。

エンゲージメントについて

まとめにも書きましたが、白書ではフリーランスの方が仕事の熱意が高いという結果が出たということでたようです。個人的な感想としては「まぁそうだよなぁ」という感じです。 結果が出たあとの感想なので調査の結果が出たことに意味があるのはわかっていますが、結果を聞いた素直な反応としては想定内という感じです。

エンゲージメント自体は、「活力」「熱意」「没頭」の3要素からなるそうですが、今回の調査では「キャリア自律」「専門性コミットメント」をその要因として 比較調査したそうですが、会社員としているとどうしても組織の都合で担当業務が決まりがちなのでこれらの値がフリーランスに比べて低いのはある程度予想がつくのかなと思います。

会社員だと「この仕事やりたいです!」とは言えますが組織の都合上「この仕事はやりません」とは言いづらいですよね。フリーランスの場合は単純に断ったり、営業をかける先を 見極めてある程度自分のやりたくない仕事は避けるということができるので、この数値に差はつきそうですよね。

もっと言うとフリーランスでキャリア的に自律していなくて専門性コミットメントが低いという状態があまり想像できないです。

白書によると、キャリア自律とは、組織に依存せずに、能動的に自分の意志で自律的にキャリアを形成すること、専門性コミットメントとは、自らの専門性に関する意識で個人にお ける専門性の領域が明確で、高めるための計画があり努力を惜しまないだそうです。

現状会社員はキャリア自律と専門性コミットメントを求められずに働ける場所というメリットを持ちつつ存在している働き方なので、こういう結果が出るのはある程度 頷けますし、先に書いた組織の都合によるキャリア形成を否とする人がフリーランスになる側面があるので殊更驚くことではないのかなと思います。 (このメリットをフルに享受している人もいるし、会社員と言う安定した立場を利用して専門性を高めているので一概には言えませんが)

ただ、熱意と生産性は必ず関係してくるはずなので、低い生産性が問題になっている現段階ではフリーランスという働き方を広げていくにあたっての説得力のある根拠には なるのかなとは思いました。

会社員とフリーランスの意識の差について

スキルに関する意識調査の比較

引用: フリーランス白書 2019

調査の一部でフリーランスと会社員のスキルに対する意識比較に関する図があるのですが、個人的に以下のような記事を書いている手前なかなか面白い結果でした。

フリーランスには「マーケット感覚」が必要だと思う

上図は「現在の働き方を続ける/成功させる上で重要だと思うもの」についての回答結果だが、「自分を売る力」は50ポイント近く正社員とフリーランスで差があり、 顧客/市場のニーズの把握力は30ポイント以上差があり、逆に会社員が今後重要なスキルが「忍耐力」という結果だったようです。

正社員という働き方を続ける上で重要だと思うものは?

→忍耐力が必要

→この先も我慢し続けるなんていやだ

→現状を変えよう!

なら良いのですが、これがこれからも同じ働き方を続ける前提でこれからはずっと我慢 だと思っちゃっているのであればそれはちょっと悲しいですね。

結果、フリーランスの方は、上のような記事を読むまでもなく「自分を売る力」や「顧客/市場ニーズの把握力」は必要だと回答し、会社員は「忍耐力」「前向きな姿勢」が一番必要なスキルだと考えているようです。 個人的にはセルフブランディングや市場ニーズの把握などの「マーケット感覚」は働き方問はず必要なものであるとは思っているのですが、残念ながら会社員は前向きに忍耐を続けていれば現在の働き方を続けられる/成功できるというように考えているようです。

企業側からみたフリーランスの活用について

白書では企業側からのフリーランス活用法についても書いてありますが、

「企業側は契約期間や稼働ボリュームなどの条件面からフリーランスを探しがちだが、解決したい課題とゴールイメージからフリーランスを探した方がいい」

というアドバイスが印象に残りました。続けて、エンジニアの場合は使用言語や経験年数を問うよりも「このプロジェクトの課題を解決できる人」という 方向で探すことをオススメする」ということも書かれており、「フリーでエンジニアになるとどういう言語を専門で扱って・・・」みたいな考えに偏りがち だがそもそも「自分が何ができて何の課題を解決できるのか?」ということが意識できないとダメだし、現状それがないのであれば何を身につければ課題解決のスキルが 身につくのかということも意識しないといけないと思いました。

自己責任論について

自己責任論

引用: フリーランス白書 2019

白書では、フリーランスの自己責任論について問題提起されていましたが画像にもあるように、独立、起業にはそれを選択する人の割合が少ないからか 本人が好きで自由を選んだんだから、自由とのトレードオフでリスクはないとダメだよねという考え方が定着しています。

ところが白書では誰もがフリーランスを選択できる社会の方がこれから「人生100年時代」「一億総活躍」などのキーワードと照らしても良いよねということが書かれていて「なるほどなー」と思いました。

私自身も読む前まではどちらかというとフリーランスは社会保障も会社員より手薄なので、ある程度の覚悟を持って働くべきという考えをもっている 自己責任的な考え方でしたが、白書を読んでみるとたしかに一人一人にあった働き方を選べる社会の方が良いし、そこで無理に自己責任論を持ち出して 進歩を止める必要もないなと考えるようになりました。

自己責任論は、フリーランスも含め生活保護などさまざまな社会問題で持ち出されがちですが、自己責任論的な考え方は思考を硬直させて住みやすい社会を つくるのには結構邪魔になるものなんだという気づきがありました。

まとめ

白書をみてみて色々な気づきがありましたが、個人的には自己責任論のところが一番大きな気づきだったように思いました。 「だれか他人が失敗して大変な目にあっている」→「自己責任でしょ」 というロジックは発展性がないので自然とこういう思考になってしまうというのはあまりよくない癖なのかなと思いました。

もちろん本当に自己責任なケースもあるのかもしれないですが、もう少し視野を広くもって考えてみると意外とそうではないということがあるような気がしました。

他にも、白書自体フリーランスの実態を調査した結果が載っているので、今の所フリーランスってどういう感じなのかなというのを知るためにも フリーランスの方は一度白書を読んでみると良いと思います。

フリーランスをやっているとフリーランスの仲間内での情報は入ってきますが、こういった全体的な情報も貴重かと思うのでオススメさせていただきます。

では。